withコロナ時代、小さな会社が生き残るための事業変革

つぶれて欲しくないお店、がんばる中小企業の皆さんに、コンサルとして培った「ビジネスモデル変革」の考え方をお伝えします

変革うまくいかないだろうな、と思う時

本来、先週金曜日に更新したつもりで、誤って消してしまったようです。
再度書き直します。申し訳ありませんでした。
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本業のコンサルをしていて、変革がうまくいかないだろうな、と思うパターンが
2つあります。


①本業の延長で考えすぎる
②本業と離れ過ぎている


このブログのテーマが、アイディアに寄せていますので、
組織風土やリーダーシップといったことは対象外といったんしておきます。



①本業の延長で考えすぎる
例えば、ガソリンエンジン向けの自動車パーツを作っている会社が、
(電気自動車に向かう途中にある)ハイブリッド車(プリウス等)の部品を作るのは、
新規事業でも、変革でもなく、新商品開発です。


同じく、レストランが、他の何も変えずに、メニューだけを新しくするのは、
新商品開発であって、事業変革ではありません。
お客様、商品、武器となる強みがきちんとそろってはじめて変革になります。


事業変革は新規商品(同じお客様に同じような価値を提供すること)ではなく、
 ・同じお客様に違う価値を提供する
 ・違うお客様に今の商品・サービスをちょっと形を変えて提供する
 ・自社の武器となる強みを活かして違うことをする
のいずれか、です。


②本業と離れ過ぎている
逆に、本業とかけ離れすぎていても、無理があります。
例えば、大きなモノを作る製造業が、突然ゲームソフトを作り出す、等。


ちゃんと戦略があって、いつか、本業にむすびつくなら良いのです。
例えば、大きなモノ=建物だと仮定して、この建物の中でリアルとバーチャルが
融合したゲームを実現する。そのために、今ゲームソフトに参入する、などのように
ストーリーがあれば、問題はないと思います。
ただ、それでも、もともとこの会社は、ゲーム屋さんではないので、
新しい強みが必要になり、苦労することにはかわりありません。
でも、何のためにゲームをやるのか、が明確なので、
ゲーム屋さんと組んだりゲーム屋さんを買ったり、といった手を考えることができるはず。


そうではなく、全く関係なく、ゲームソフトと言い出した場合、どうしようもありません。
もともと強みもないし、最終的に本業と融合した総合力で戦うというプランもない。
そのため、ゲーム単体で勝負をするという孤立無援な戦いになってしまいます。
この場合、すでにゲーム業界の皆さんがしのぎを削るなか、どう戦うのか・・・。


富士フィルムが、スキンケア化粧品事業で成功したのは、
これまで培った技術を展開できたから、であり、きちんとこれまでとの
つながりがあることを忘れてはいけない、ということですね。



こちらもお願いいたします。
小さな会社の事業変革について体系的にまとめています

製造業の場合

製造業の場合、とくに法人相手の商売をしている場合の
ビジネスモデル変革について考えてみたいと思います。


お客様自体がコロナで生産を減少させているので、
あなたの会社も売上が減ってしまっているかもしれません。


その場合、今こそビジネスモデルを変えるチャンスとなるかもしれません。


お客様である法人(おそらく組み立てメーカーや、その下請けメーカー)も
今、変革に迫られているからです。


実は今、製造業の世界においては、コロナだけではない地殻変動がおきようとしています。


それが、AI化、IoT化が引き起こす影響です。
IoTとは、モノのインターネットといわれますが、要は、すべてのモノが
「つながり」、遠隔でコントロールされる世界となる、ということです。


このとき、これまでに存在しなかったプレイヤが出現してきます。
それが、モノの情報をとって情報を処理するプレイヤ
(仮にIoTプラットフォーマーと呼びます)です。


IoTプラットフォーマーが情報を握ります。
このプレイヤは、そこにつながるモノの情報をすべてコントロールし
遠隔操作をすることができます。
すると、一つ一つのモノの価値は下がってしまいます。
全体の中でうまく協調してモノが動くことが重要になるからです。


例えば、MaaSだの、モビリティだの、といわれています。
これも、同じ事象です。
クルマなどの移動体が「つながる」ようになり、
移動したいと思う人と、クルマや自転車、電車等を最適な組み合わせでつなぎます。
そのうち、クルマは自動運転になるでしょう。
このとき、クルマや、自転車、電車、等、それぞれの価値は下がり
目的地に「安く」「確実に」「安全に」届けることのできるサービスを行う
(つまり、移動手段を組み合わせることができる)プレイヤが最も力を持ちます。
クルマ等は、そこにつながる一つのモノでしかなくなります。


もちろん、将来も「走る」喜びを求める人はいるでしょう。
でも、それは、きっと、趣味の世界になってしまう。
乗馬が高尚な趣味になったように・・・。


スマートXXというのも、すべて同じことです。
スマートシティであれば、街にあるモノがつながり、それを必要とする
住民と結びつける。
スマートファクトリであれば、工場にあるモノがすべてつながり、
工場全体の稼働を最適化するために一つの仕組みとして動くようになる。


このように、モノから情報を吸い上げ、コントロールし、ユーザーに提供するプレイヤ
が出現する世の中において、製造業は生き残りをかける必要があります。


今、あなたの会社のお客様(系列トップ等)は、こうした状況に直面しています。
ここで、彼らの生き残る道は、
 ・「つながる」製品を作る
 ・「つながる」製品をコントロールする仕組みを作る
 ・他社製品も含めて「つながる」製品をコントロールし全体を管理できるようになる
の3つの道があります。


あなたの会社は、このお客様の変化を支える提案をしてあげたら良いのです。
「つなげる」ためには、どうすればよいのか。
「つなげる」製品をコントロールするソフトウェアを一緒に開発する。
他社製品もコントロールするための後付けキットをつくる。
等。


変化をしないでいると、お客様の変化においていかれてしまい、
いずれ、今のモノは売れなくなってしまいます。
そうなる前に、お客様を先回りして提案していくことができるかどうか。



ぜひ、こちらもお願いいたします。 

地域で共闘する 嫁ニーさんにやって欲しい戦略

マツコさんの番組が好きで、いろいろみています。


月曜から夜更かしで、たびたびでてくる
嫁ニーさん。
沖縄で、居酒屋を複数店経営したり、
黒い恋人という面白い商品を企画開発して
売り歩いたり。


コロナで一店舗をたたむも、新たな店舗を
オープンさせています。


彼の強みは、絶対にあのキャラと知名度です。
とにかく明るく、企画をバンバンだす。
とにかくへこたれない。
深夜番組とはいえ、マツコさんの番組です。
見ている人は多いはず。


彼は、沖縄を元気にするという思いで
お店を経営しています。


この志と、知名度と、キャラを武器に
しない手はないと思います。


彼の仲間で集まって、
沖縄のお菓子やら、食べ物を
面白い企画とともに、毎月送る。
お菓子とともに、笑いを届けてくれる。
そんなサブスクビジネスができるのなはないか。
黒い恋人人形が入っていてもいいと思います。


沖縄(とくに石垣島)が好きなので、
いけないにしろ、何かしら応援したい。
そんな気持ちの人は多いはず。


流行りのサブスクビジネス。
一社完結でやる必要は、無いと思います。


今、コロナの影響もあり、東京一極集中から
脱する動きが少しづつ始まっています。
卵が先か、鶏が先か、ではないですが、
地方で仕事を生み出すことも大事です。
お上のお金を期待しても、なかなか、難しい。
ならば、連合軍で戦うのもありではないでしょうか。


集客と集金を分けて考える

講演会等のイベントをして、来てくれたお客様のリストを集めた。
でも、何のアクションにつながっていない。
それどころか、そもそも今いるお客様ばかりが来てくださった。
これって、何のためにイベントしたのでしょう。
本当は、新しいお客様にきていただくべく、イベントをしたかったのでは・・・?


本を書いたけど、ターゲットがあっていない。
例えば、一代で事業を成功させた経営者で本を書かれる方がいます。
その内容が自慢場話であるとしたら、これは何のために書いているのでしょうか?
自己満足以外の何物でもないはず。
本当は、自社の取り組みをより多くの人に知っていただくためなのでは・・?


集客の手段はいろいろあります。
でも、その目的をしっかりと設計しないと、上の例のようになってしまいます。


そのため、集客の目的を明確にすべきです。
集客したからといって、それがお仕事(=お金)に直結することはありません。


きちんと、集客から、集金(お仕事をいただき、お金をいただくまで)の流れを
考えておく必要があります。


以下の記事
チエが強みの会社の変革 - withコロナ時代、小さな会社が生き残るための事業変革
において、チエを武器とする会社は、インターネットとの相性がよいと書きました。


この場合も、
 ・YouTube
 ・ブログやSNS
 ・ホームページ
など、いろいろなツールがあります。
それぞれは、何の役割を持たせるべきなのでしょうか。


一連の流れをきちんと設計しておかないと、意味のない取り組みになってしまいます。


以下の記事
ちょっとした変革: 大企業の当り前を知る - withコロナ時代、小さな会社が生き残るための事業変革
で紹介した20年前のホームページを今だに使い続けているお店。
このお店のホームページは役割を果たしていません。


せっかく来てくださったお客様に何の情報も与えていないし、
注文につなげることもできていないからです。


何でどのように集客し、何でお金をいただく(集金)するのか、
あらためて考えてみると、
他社がSNSやっているからといって、真似する必要もなくなるのではないでしょうか。




こちらもよろしくお願いいたします。

10年後、どうなっているでしょうか?

そんなことは誰にもわかりません。
でも、10年後、どうなっていたいか、なら、妄想することができます。
そして、その10年後に向けて、今何をすべきか、を考えることができます。


「バックキャスト」思考なんていう言葉があります。
未来から逆算する、という考え方。
対して、「フォアキャスト」思考というものが、今を起点にして未来を考える。
実は、バックキャストするための未来は、フォアキャストで作るので
矛盾しているのですが・・・
そこは置いておいて、使えるものは、使いましょう。


ということで、10年後の未来の妄想の仕方と、そこから
事業変革につなげることを考えてみたいと思います。



10年後の前に、まずは現在地点を抑えるための枠組みを用意しましょう。


 お客様: 今のお客様はどのような人/会社でしょうか 
 ニーズ: そのお客様は何に困っているのでしょうか 


という基本的な2つをまずは整理してみましょう。


お客様とそのニーズがなくなってしまったり、
ニーズが別のものになってしまえば、今のあなたの会社の商品やサービスは
売れなくなってしまいます。
そこで、10年後、20年後の未来を妄想して、そこに備えておくことが必要です。


10年後を形作る根拠として、メガトレンドというものがあります。
ある一時のブームではなく、長期にわたって続くと考えられる変化、を
メガトレンドと呼びます。


本来は、自社の事業において、PESTというフレームワークで
メガトレンドを網羅していき、優先度をつけて未来シナリオを作る、というのが
一般的な進め方です。
 Polotics: 政治的な変化
 Economics: 経済的な変化
 Society: 社会の変化
 Technology: 技術の変化


でも、私たちの目的は未来を予測することではなく、未来を妄想しておき、
ビジネスモデル変革のヒントを得ることにあります。
そのため、完璧なる(そして当たる可能性の低い)未来予測は、他に任せておきましょう。


社会の変化と技術の変化の二つを抑えれば十分です。
社会の変化として押さえておくべきは、
 ・人口動態の変化 
   ・確実に少子高齢化します
   ・働き手が年間100万人へっていきます
    →したがって、誰かが代わりに働くしかなくなります
      ・定年をさらに伸ばす
      ・事情があってフルタイムで働けない人も働けるように
      ・外国の方にきてもらう 
      ・ロボットやAIに置き換える
 ・世論の変化
   ・所有から利用を好むように
   ・おそらく防疫(コロナや災害)への意識は多少今よりは落ち着くものの
    元には戻らないでしょう
     ・結果、在宅ワークのある継続
      → 住みやすい環境を求めて、地方へ
      → 結果、東京一極集中の解消
   ・環境へのますますの配慮
   
技術の変化は、
 ・AIの発展: ますますいろいろなことができるように
 ・IoTの発展: 多くのデータが作られるとともに、いろいろなモノ同士連携するように
 ・ロボットの発展: AIにおける身体に
 ・自動運転の発展: クルマをはじめ、いろいろなものが自動運行されるように
 ・リモートワークの促進: 遠隔会議のみでなく、遠隔操作など、
                 より多くの職種でリモート可能に
 ・通信環境の発展: より早く、大容量に
等を押さえておくと良いでしょう。


上で挙げたすべてを考慮する必要はありません。
こうした変化がおきるとどうなるだろう、と考えるきっかけとして
いくつかを組み合わせてみるだけで十分です。


たとえば、自動車メーカー向けの部品を作っている会社があるとします



 お客様: 自動車メーカー (ガソリンなどの内燃機関のクルマ)
 ニーズ: 内燃機関向けの部品が欲しい


変化
 社会の変化: 
  ドライバーの高年齢化 → 危険運転防止策が求められる
  所有から利用→ 販売台数が減る
  環境への配慮→ 電気自動車への流れ
 技術の変化:
  AI・IoT・自動運転の発展 
   → クルマは一般の人にとって運転するものではなくなり、
     移動する間の時間を過ごす「場所」になる
  
自動車メーカー自身はどう考えているのか。
おそらく、最も、恐怖を感じているのは、トヨタ自動車なのではないかと思います。
そのため、
 ・自動車を売るだけではなくサブスク化したり、
 ・電気自動車をはじめとする次世代自動車の開発をすすめたり
 ・自動車が移動手段になることをみこして、スマートモビリティ、
  はてはスマートシティづくりまで
など、いろいろな取り組みをしようとしています。


ここで、先の会社はどうするのか。
いろいろな可能性が考えられますが、やはり、今のビジネスモデルで
い続けることはできないでしょう。


でも、お客様たる自動車メーカーも悩んでいることは上の例からも明らか。
ニーズはあるはずで、それを今の技術を応用して解決できないか。


ビジネスモデルを変えるための体系的な考え方については、
こちらに詳しく書いています。
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